相続税の税務調査|いつ来る?何を確認される?
こんにちは。なえむら総合会計事務所、公認会計士・税理士の苗村です。
相続税の申告を終えてひと息ついたあとで、「あとから税務署の調査が来ることがあると聞いた」「うちは大丈夫だろうか」と気にかかっていらっしゃるかもしれません。申告書を出したあとにも心配ごとが残るのは、落ち着かないものですよね。
先にお伝えしておくと、税務調査は、財産をきちんと調べて根拠のある申告をしていれば、身構えるようなものではありません。どんなときに、何を確認されるのかを知っておけば、備え方もはっきりします。この記事では、調査の時期と流れ、確認されやすいポイントを整理します。
連絡が来るのは申告の1〜2年後
相続税の税務調査は、申告書を出してすぐに来るものではありません。申告から1〜2年ほど経ってから連絡が来ることが多く、時期としては秋に行われることが多いと言われます。
申告からかなり間が空くため、「もう終わったこと」と思っていたところに突然連絡が来た、という受け止め方になりがちです。申告のときに使った通帳のコピーや残高証明書、不動産の資料などは、しばらく手元に残しておくと落ち着いて対応できます。
税理士に申告を依頼していて、税務代理権限証書を提出している場合は、税務署からの連絡はまず税理士に入ります。ご本人にいきなり電話が来るわけではないので、その点はご安心ください。
すべての申告に調査があるわけではない
申告した人のところに順番に調査が来る、というものではありません。税務署は、提出された申告書の内容と、手元にある資料——金融機関から得られる情報などを照らし合わせています。そのうえで、確認しておきたい点が出てきた場合に連絡が来る、という流れです。
また、調査といっても、自宅に調査官が来る実地調査だけではありません。電話や文書で「この点を確認させてほしい」と尋ねられる簡易な接触もあり、書類を出して説明すれば終わるケースもあります。連絡が来たこと自体が、疑われているという意味ではありません。
一般論として、次のような状況では確認したい点が生じやすいと言われます。
- 生前に預金の出入りが大きく、使いみちがはっきりしない
- 財産の規模に対して、申告された金額が少なく見える
- 相続税がかかりそうな内容なのに、申告が出されていない
いずれも「該当したら必ず調査になる」という話ではありません。ただ、こうした点は説明を求められやすいので、申告の段階で整理しておくと安心です。
よく確認されるのは預金と生前贈与
実際に確認されるポイントは、おおむね決まっています。土地の評価が争点になることもありますが、多くは預金まわりです。
確認されやすいポイント
- 名義預金 ── お子さんやお孫さんの名義でも、実質は亡くなった方の預金と見られるもの。通帳・印鑑を誰が管理していたか、お金の出どころはどこかが確認されます。
- 亡くなる前の大きな出金 ── 直前に引き出された現金の使いみち。手元に残っていた現金(手許現金)は相続財産に含まれます。
- 生前贈与の申告漏れ ── 過去に受け取った贈与のうち、加算が必要なもの。贈与税の申告の有無もあわせて見られます。
- 計上漏れの財産 ── 生命保険、上場・非上場の株式、貸金庫の中身など、通帳だけを見ていると見落としやすいもの。
とくに名義預金は、ご家族に悪気がまったくないのに指摘されることの多い項目です。「孫のために積み立てていた」というお気持ちは自然なものですが、贈与として成立していたかどうかは、通帳と印鑑の管理者や、本人が口座の存在を知っていたかといった事実で判断されます。
こうした財産を洗い出すには、集める資料の範囲を最初に把握しておくのが近道です。相続税申告の必要書類一覧に、何をどこで取るかをまとめています。
申告漏れが見つかった場合
確認の結果、申告に漏れがあったとわかった場合は、修正申告を行って不足していた税額を納めます。あわせて、過少申告加算税と延滞税がかかります。
事実を隠していた、書類を作り替えていたなど、仮装・隠蔽があったと判断された場合には、より重い重加算税の対象になります。逆に言えば、単純な見落としや評価の考え方の違いであれば、修正申告で精算して終わります。ここは大きな違いです。
備えは申告の段階でほぼ決まる
調査への備えとしてできることは、申告の時点でほとんど済んでいます。財産の調査を尽くし、なぜその金額になるのかを説明できる資料をそろえて申告する。これに尽きます。
名義預金や生前贈与のように判断が分かれる部分も、申告のときに事実を整理し、どう扱ったかをはっきりさせておけば、あとから聞かれても説明ができます。曖昧なまま残さないことが、そのまま安心につながります。
税理士に依頼した場合は、評価の根拠資料をそろえて申告書を作るため、税務署から見ても内容を確認しやすい申告になります。幸い、当事務所ではこれまで、相続税申告の後に税務調査に至ったことはありません。依頼するかどうか迷っている段階の方は、相続税申告は自分でできる?税理士に依頼すべきケースもあわせてご覧ください。
相模原市で相続税申告・調査対応をお考えの方へ
当事務所は相模原市南区・東林間駅から徒歩1分です。財産の洗い出しから土地の評価、根拠資料をそろえた申告書の作成・提出まで対応しており、これまで相続税申告の後に税務調査に至ったことはありません。すでに調査の連絡が来てしまったという場合のご相談や、立ち会いの対応も承ります。他の事務所で申告された案件でもかまいませんので、お気軽にお声がけください。
この記事では、相続税の税務調査について、次の点を整理しました。
- 連絡が来るのは申告から1〜2年後が多く、秋に行われることが多いと言われる
- すべての申告が調査されるわけではなく、実地調査のほかに電話・文書での簡易な確認もある
- よく見られるのは名義預金、亡くなる前の大きな出金、生前贈与の漏れ、計上漏れの財産
- 漏れが見つかれば修正申告と加算税・延滞税、仮装・隠蔽があれば重加算税
- 備えは申告の段階で決まる。財産を調べ尽くし、根拠資料をそろえておく
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