相続税申告は自分でできる?税理士に依頼すべきケース
こんにちは。なえむら総合会計事務所、公認会計士・税理士の苗村です。
相続税の申告費用を調べると数十万円という金額が出てきて、「これ、自分でできないのかな」と考えていらっしゃるかもしれません。それは自然な感覚だと思います。
最初にお伝えすると、相続税の申告を自分で行うことは制度上可能です。税理士に頼まなければいけない決まりはありません。ただ、財産の内容によって難易度が大きく変わります。この記事では、自分で申告しやすいケースと、税理士に依頼した方がよいケースの見分け方をお伝えします。
自分で申告しやすいケース
次の条件がそろっている場合は、ご自身での申告も現実的です。
- 財産が預貯金や上場株式が中心で、土地・建物がない
- 特例(小規模宅地等の特例・配偶者の税額軽減など)を使わない
- 相続人が少なく、遺産の分け方が決まっている
- 申告期限(亡くなったことを知った日の翌日から10か月)まで余裕がある
預貯金は残高証明書の金額がそのまま評価額になるため、財産の評価で迷う場面が少なくて済みます。税務署や国税庁サイトの「相続税の申告のためのチェックシート」など、公的な資料も用意されています。
そもそも申告が必要かどうかを確認したい方は、先に相続税はいくらからかかる?基礎控除と申告の要否をご覧ください。
税理士への依頼を検討した方がよいケース
一方で、次のどれかに当てはまる場合は、依頼を検討することをおすすめします。
ひとつでも当てはまったら相談を検討
- 土地・建物がある
- 小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を使う
- 親の口座から子や孫の名義に移した預金(名義預金)がある
- 過去に生前贈与を受けている
- 相続人が複数いて、分け方がまだ決まっていない
- 非上場株式(親の会社の株など)がある
- 申告期限まで時間がない
このうち、特に影響が大きいものを3つ説明します。
土地があると、評価に「幅」が生まれる
相続税申告で難しいのは、申告書の記入ではなく財産の評価です。
土地は原則として「路線価 × 面積」で評価しますが、実際には土地の形・間口・奥行き・使われ方によって評価を下げられる要素があります。この判断には経験が必要で、同じ土地でも評価する人によって金額が変わることがあります。評価が高すぎれば税金を払いすぎ、低すぎれば後から指摘を受ける恐れがあります。
経験上、土地の評価が入る申告をご自身だけで行うのは、あまりおすすめしていません。
特例を使うなら、税額ゼロでも申告が必要
小規模宅地等の特例を使うと、同居していた親の自宅の土地は評価額を最大80%減らせます。たとえば評価2,000万円の土地が400万円になる、という制度です。
ここで注意したいのは、特例は申告して初めて使えることです。特例を使った結果、税額がゼロになる場合でも申告は必要です。「計算したらゼロだったから申告しなくていい」と判断してしまうと、特例自体が使えなくなる恐れがあります。要件の確認も含めて、慎重に進めたいところです。
名義預金・生前贈与は判断が分かれやすい
子や孫の名義になっていても、実際には亡くなった方が管理していた預金は、相続財産として扱われることがあります(名義預金)。通帳や印鑑を誰が管理していたか、お金の出どころはどこか、といった事情で判断が変わるため、税務署からも確認されやすいポイントです。
税理士に依頼した場合の違い
費用をかけて依頼する意味はどこにあるのか。実務の視点でお伝えします。
申告の裏付けがきちんと整います。税理士は評価の根拠資料をそろえて申告するため、税務署から見て内容を確認しやすい申告書になります。幸い、当事務所ではこれまで、相続税申告の後に税務調査に至ったことはありません。
評価と特例の検討を任せられます。土地の評価減や特例の適用要件など、知らないと使えない項目を漏れなく検討できます。
期限と書類集めの負担が軽くなります。相続では葬儀後の各種手続きと並行して申告準備が進みます。気持ちの整理もつかない時期に、戸籍や残高証明を集めて回るのは思った以上に大変です。
費用の目安は、一般に遺産総額の0.5〜1%程度と言われています。相続は一生に何度も経験することではありません。迷った分の時間や、評価・特例の差を考えると、土地や特例が絡む場合は依頼した方が結果的に安心だった、というご相談者は少なくありません。
相模原市にお住まいの方へ
相模原市の相続税申告は相模原税務署が窓口です。当事務所(相模原市南区・東林間駅徒歩1分)では、土地の評価から申告書の作成・提出まで対応しています。「自分でできるか、頼んだ方がいいか」の段階のご相談も歓迎です。
まとめ
- 相続税申告は自分でもできる。預貯金中心・特例なし・期限に余裕があれば現実的
- 土地がある、特例を使う、名義預金があるなどの場合は税理士への依頼を検討
- 特例で税額がゼロになる場合も申告は必要
- 依頼費用の目安は遺産総額の0.5〜1%程度
手続き全体のスケジュールは親が亡くなったら何をする?相続手続きの流れと期限で整理しています。
「うちの場合はどっちだろう」と迷ったら、その状態のままで大丈夫ですので、当事務所の相続に関する初回無料相談でお聞かせください。財産の内容をうかがって、ご自身で進められそうか、依頼した方がよさそうかを率直にお伝えします。


