準確定申告とは?期限4か月と必要になるケース
こんにちは。なえむら総合会計事務所、公認会計士・税理士の苗村です。
葬儀や役所の届出がひと段落したころに、「亡くなった方の確定申告が要る」と言われて戸惑っていらっしゃるかもしれません。確定申告なんて聞いていない、本人はもういないのにどうやって、と感じるのは自然なことです。
これは準確定申告という手続きで、亡くなった方の所得税を相続人が代わりに申告するものです。期限は4か月と短めですが、必要になる方は限られています。まずは「自分に関係があるかどうか」から順に見ていきましょう。
準確定申告は、亡くなった方の最後の確定申告
準確定申告とは、亡くなった方のその年の1月1日から死亡日までの所得について、相続人が代わって行う所得税の確定申告です。
通常の確定申告は、1年分の所得を翌年にご本人が申告します。けれども亡くなった年は、1年を待たずに所得が途中で終わり、ご本人が申告することもできません。そこで、死亡日までの分を相続人がまとめて申告する、という仕組みになっています。
「準」と付いていますが、中身は確定申告とほぼ同じです。医療費控除や社会保険料控除、配偶者控除といった各種控除も、死亡日までに支払った分などを対象に適用できます。
期限は4か月。相続税より先に来ます
準確定申告の期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。申告だけでなく、納税もこの日までに済ませます。
| 手続き | 期限(相続の開始を知った日の翌日から) |
|---|---|
| 相続放棄・限定承認の申述 | 3か月以内 |
| 準確定申告・納税 | 4か月以内 |
| 相続税の申告・納税 | 10か月以内 |
相続税の10か月に気を取られていると、その前にある4か月を見落としがちです。実際、ご相談をお受けする時点で残り1か月ほど、ということも珍しくありません。手続き全体の順番は親が亡くなったら何をする?相続手続きの流れと期限にまとめています。
申告が必要になるケース、不要なことが多いケース
亡くなった方すべてに準確定申告が要るわけではありません。おおまかには次のように分かれます。
申告が必要になる主なケース
個人事業や不動産賃貸の所得があった/給与収入が2,000万円を超えていた/公的年金の収入が400万円を超えていた/年金以外の所得が20万円を超えていた など
不要なことが多いケース
公的年金の収入が400万円以下で、他の所得が20万円以下だった/給与を1か所から受けていて、源泉徴収で精算が済んでいた など
右側は「不要なことが多い」であって、不要と決まるわけではありません。年金のほかに配当や不動産の収入が少しあった、副業の所得があった、といった事情で結論が変わります。ご自身で判断しきれないときは、確認だけでもしておくと安心です。
還付を受けられることもあります
亡くなる前に入院や治療で医療費がかさんでいた場合、医療費控除で所得税が戻ってくることがあります。年金から源泉徴収されていた税額が多すぎた、というケースもあります。
還付だけを受ける申告は義務ではないため、4か月を過ぎても提出できます。この場合の期限は5年間です。慌てて4か月に間に合わせる必要はありませんので、落ち着いたころに見直してみてください。
相続人が2人以上いるときの出し方
相続人が複数いる場合、準確定申告は相続人全員で行います。方法は2つです。
-
連署して1通を提出する
相続人全員が連署した申告書を1通、まとめて提出します。付表に各相続人の氏名・住所などを記載します。
-
各自が別々に提出する
連絡が取りづらいなどの事情があるときは、相続人がそれぞれ申告できます。この場合は、他の相続人に申告内容を知らせることになっています。
提出先は、亡くなった方の住所地を管轄する税務署です。相続人がどこに住んでいるかは関係ありません。
相続税とのつながり
- 準確定申告で納めた所得税は、相続税の計算上、債務として遺産から控除できます。
- 還付された税金は、亡くなった方の相続財産に含めて相続税を計算します。
準確定申告と相続税申告は別々の手続きですが、このように数字がつながっています。相続税の申告も見込まれる方は、集める資料が重なる部分もありますので、相続税申告の必要書類一覧もあわせてご覧ください。
相模原市にお住まいだった方の場合
亡くなった方が相模原市にお住まいだった場合、準確定申告の提出先は相模原税務署になります。当事務所では、準確定申告からその後の相続税申告まで一貫してお引き受けしています。同じ資料を二度集め直す手間がかからず、所得税と相続税のつながりも踏まえて進められます。
事業をされていた方は、早めの着手を
亡くなった方が個人事業や不動産賃貸をされていた場合は、死亡日までの帳簿を締める作業が加わります。売上や経費の集計、減価償却の計算、棚卸しなど、通常の確定申告と同じ手順を4か月のうちに終える必要があります。
通常の確定申告なら年明けから3月半ばまで時間がありますが、準確定申告はその半分ほどの期間です。しかも、その間に葬儀後の各種手続きや遺産の把握も並行して進むことになります。資料の場所がわからない、帳簿づけが途中で止まっている、というご相談も多くあります。経験上、早めに取りかかっておくと後の負担がずいぶん違います。
準確定申告について、押さえておきたい点をまとめます。
- 亡くなった方の1月1日から死亡日までの所得を、相続人が代わって申告する手続き
- 期限は相続の開始を知った日の翌日から4か月以内(申告・納税とも)
- 事業・不動産所得がある、年金収入400万円超、給与2,000万円超などの場合に必要
- 医療費控除などで還付を受けられることがあり、その申告は5年以内でよい
- 納めた所得税は相続税の債務控除に、還付金は相続財産に含める
「うちは申告が要るのだろうか」という段階でも大丈夫です。年金の源泉徴収票や通帳を拝見すれば、必要かどうかはその場でおおよそ判断できます。判断に迷われたときは、当事務所の相続に関する初回無料相談をご利用ください。相模原市を中心に、公認会計士・税理士が直接お話をうかがいます。


